本書はラテンアメリカ政治を古代から現代まで扱った概説書であることから、大学でのラテンアメリカ政治史のテキストとして用いることができます。この記事ではその使用例を示します。なお、以下では1回の授業を1コマと呼び、コマの授業時間として90~105分を想定します。
(1)半期の講義
半期(2学期制における1学期分)で本書の内容を全て扱うことは事実上不可能なので、ポイントを絞って説明をする必要があります。各章を1回の授業に当てる場合、第1節に入る前の冒頭部(主に時代背景)を10分で話した上で、各回のポイントをなるべく3点にまとめます。例はこちらをご覧下さい。
(2)通年の講義
通年の場合、十分な授業回数を確保できるので、本書の全ての内容に触れることが可能です。この場合、2コマで1章分を扱うことになります。ほとんどの章は3節で構成されていますので、これを半分に分けるのであれば、前半は冒頭部と第1節、後半は第2節と第3節となります。
20ページ前後ある各章の分量を考えれば、冒頭部の記述は短いものです。しかし、冒頭部の説明は、まさに「世界の中のラテンアメリカ」を学生に意識させる上では極めて重要です。
ラテンアメリカ政治(史)の授業では、学生がほとんど知識を持たないラテンアメリカについて一から解説する必要があるため、どうしてもラテンアメリカのことを話す時間が増えてしまいます。その結果、フランス革命や二度の世界大戦、冷戦など、学生が知っている出来事と、授業で解説されるラテンアメリカでの出来事が結び付かないことがしばしば起こります。
(3)少ない国を扱う方法、あるいはワークブックとしての活用
ラテンアメリカ諸国を広く扱う授業では、各回において特徴的な国が扱われる傾向があります。このため、学生は毎回異なる国のことを聞かされることになります。これを避ける方法として、全体を通して扱う国を減らす、究極的には1つの国に絞って解説を行うことが考えられます。
「この本について」で記した通り、本書は特定の国の通史を扱っていません。しかし、「ラテンアメリカ諸国の政治の展開には共通点が多い」(p.31) ため、講師の側が特定の国を選び、各章の内容に即して、解説を組み立てることが相当程度可能です。
このことは、本書を学生側の能動的な学習(いわゆるアクティブラーニング)に活用できることを意味します。まず、学生が特定の国を選び、各章の内容に対応するその国の状況を調べます。そして、本書で説明するラテンアメリカ諸国全体の特徴、あるいは各章で取り上げている国との相違を検討することで、調べた事例の特徴を学ぶことができます。
